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1. 【【はじめに】キッチンの色選びで失敗する人が多い理由とは?
キッチンのリフォームは、住まいの中でも特に重要な決断の一つです。毎日使う場所だからこそ、「快適でおしゃれな空間にしたい」と願うのは当然のこと。しかし、いざシステムキッチンを選ぶ段階になると、思い描いていた理想とは異なり、後悔するケースも少なくありません 1。中でも良くあるのが「色選び」での失敗です。
好きな色=正解とは限らない?
その理由の一つに、「個人的な好みに偏りすぎてしまう」傾向が挙げられます。もちろん自分の好きな色を取り入れることは大切です。しかし、それだけを基準にして決めてしまうと、実際にキッチンが設置された際に「なんだか浮いている」「家全体の雰囲気と合っていない」感じることがあるのです。
キッチンは”空間の一部で”であることを意識する
キッチンは単独で存在するのではありません。床や壁の色、素材との調和はもちろん、リビングやダイニングなど、隣接する空間とのつながりも意識する必要があります。つまり、キッチンは”家全体の一部”であり、全体的なバランスを考慮して色を選ぶことが、後悔しないキッチンの色選びの第一歩になるのです。
キッチンの色選びで成功するために知っておきたい4つの視点
キッチンの色選びは、日々の使い心地や空間の印象を大きく左右する重要な要素です。後悔しないためには、以下の4つの視点を考慮することが肝要です。
1. 【周囲との調和】一体感を演出し、心地よい空間へ
キッチンの色を考える際、床材、壁、そしてリビング・ダイニングとの繋がりなど、周囲の要素との調和は不可欠です。これらの要素とのバランスを考慮せずに色を決めてしまうと、キッチンだけが浮いて見えたり、空間全体のまとまりを損なう可能性があります。
例えば、落ち着いた色合いの床には、温かみのある木目調やアースカラーのキッチンが調和し、穏やかな印象を与えます。一方、明るい色の床には、濃い色のキッチンを配置することで、空間に引き締まった印象とモダンなアクセントを加えることができます。周囲の色との調和を意識することで、キッチンは空間に溶け込み、より心地よい場所となるでしょう。
2. 【照明効果】時間帯や光の種類で変わる色の表情
照明は、キッチンの色の見え方に大きな影響を与える要素です。ショールームの明るい照明の下で魅力的に見えた色が、自宅の照明環境下では異なる印象を受けることは少なくありません。
自然光がたっぷりと入るキッチンでは、明るい色はより鮮やかに、場合によってはまぶしく感じられることがあります。一方、日当たりの少ないキッチンでは、暗い色は空間をさらに陰鬱に見せてしまう可能性があります。夜間の照明の色温度によっても、色の見え方は変化します。
色を選ぶ際には、一日の時間帯による自然光の変化や、 планируете использовать 照明の種類(電球色、昼白色など)を考慮し、実際に近い環境で色の見え方を確認することが重要です。
3. 【長期的な視点】時を超えて愛せる色を選ぶ
キッチンは、頻繁に買い替えるものではありません。そのため、色選びにおいては、一時的な流行やその時の気分に流されることなく、長期的な視点を持つことが大切です。
数年後には飽きてしまったり、時代遅れに感じてしまうような色を選んでしまうと、後悔につながる可能性があります。「何年経っても飽きのこない、自分にとって本当に心地よい色」を選ぶことが、長く愛用するための秘訣と言えるでしょう。素材感や質感も考慮しながら、普遍的な魅力を持つ色を選ぶことをお勧めします。
4. 【実用性とメンテナンス性】美しさと使いやすさの両立
キッチンの色は、見た目の美しさだけでなく、日々の使いやすさやメンテナンスのしやすさにも影響を与えます。
例えば、黒や濃い色のキッチンは、モダンでスタイリッシュな印象を与えますが、水垢や指紋、油汚れなどが目立ちやすい傾向があります。一方、白を基調としたキッチンは、清潔感がありますが、醤油やコーヒーなどのシミが目立ちやすいという側面も。
ご自身のライフスタイルや掃除の頻度などを考慮し、見た目の好みだけでなく、日々のメンテナンスのしやすさも考慮して色を選ぶことが、長く快適にキッチンを使うための重要なポイントです。
2. 【成功例】理想を叶えたキッチンカラーの選び方
ここでは、実際に理想的なキッチン空間を実現した成功例を見ていきましょう。これらの事例から、ご自身のキッチンカラー選びのヒントを見つけてください。
成功例1:床の色との調和で落ち着いた空間を実現
ナチュラルな木目調のフローリングのリビングダイニングに面したキッチンで、システムキッチンの扉の色を落ち着いたマットなグレーで統一した事例です。フローリングの温かみと、グレーの持つ上品さが絶妙に調和し、落ち着いた雰囲気のLDK空間を作り出しています。キッチンの天板には、同色人造大理石を選ぶことで、作業スペースの明るさを確保しつつ、グレーとの統一感を生み出しています。このように、床の色とキッチンの色を同系色でまとめつつ、素材感や明るさで変化をつけることで、統一感がありながらも単調にならない、洗練された空間が実現しました 。事例のキッチンも、床の木目とキッチンのグレーの色味が調和し、落ち着いた印象を与えています。
成功例2:温もりと洗練が調和する、木目×ホワイトキッチンのある暮らし
ナチュラルな木目調のフローリングが広がるリビングダイニングに、明るく開放的な印象のキッチンが配置された成功事例です。システムキッチンの扉には、温かみのある木目調を採用し、床材との調和を図り、空間全体に自然な統一感をもたらしています。
キッチンの天板には、清潔感あふれるホワイトの人造大理石が選ばれ、明るい作業スペースを確保するとともに、木目の素材感を引き立てています。また、壁面には淡いグレーのモザイクタイルがあしらわれ、さりげないアクセントとなりながらも、落ち着いた雰囲気をプラスしています。
このように、床の木目とキッチンの木目を同系色でまとめつつ、天板や壁材に明るい色を取り入れることで、統一感がありながらも単調にならない、洗練された空間が実現しました。自然素材の温もりを感じさせながらも、モダンでスタイリッシュな印象を与えるキッチンは、日々の暮らしを豊かに彩ります。
事例のキッチンも、床の温かみのある木目と、キッチンの木目の質感が美しく呼応し、住まいに心地よい安らぎをもたらしていると言えるでしょう。そこに、ホワイトの天板や淡いグレーのタイルが加わることで、明るさと落ち着きが共存する、洗練されたキッチン空間が生まれています。
深みのある赤が空間を彩る、モダンで情熱的なキッチンのある暮らし
明るい木目調のフローリングのリビングダイニングに、ひときわ目を引く深紅色のシステムキッチンが印象的な成功事例です。光沢のある扉の色は、空間に大胆さと華やかさをもたらし、モダンで情熱的な雰囲気を演出しています。
キッチンの天板には、クールな印象のステンレスが採用され、深紅色の扉とのコントラストが、洗練されたシャープな印象を与えています。また、壁面には白いタイルが貼られ、キッチンの鮮やかな色味を引き立てるとともに、清潔感をプラスしています。
このように、床の明るい木目とキッチンの深みのある赤という、異なる色味を組み合わせることで、空間にメリハリが生まれ、個性的で魅力的なLDK空間が実現しました。大胆な色使いながらも、素材の質感やシンプルなデザインによって、バランスの取れたスタイリッシュなキッチンは、住む人の個性を表現する空間となるでしょう。
本事例のキッチンも、フローリングのナチュラルな色合いと、深紅色のキッチンのコントラストが際立ち、空間に活気を与えています。ステンレスの天板や白いタイルが、赤色の持つ強さを和らげ、モダンで洗練された印象を高めていると言えるでしょう。大胆な色使いを取り入れながらも、素材の組み合わせによって、調和の取れた美しいキッチン空間が創り出されています。
3. 【成功のコツ】後悔しないキッチンカラー選びの重要ポイント
キッチンの色選びで後悔しないためには、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。以下のコツを参考に、ご自身にとって理想のキッチンカラーを見つけましょう。
① キッチンの「理想のイメージ・スタイル」を明確にする
まず最初にすべきことは、キッチンの完成イメージを明確にすることです。
・モダンでスタイリッシュに仕上げたい
・明るくて温かみのあるナチュラルな雰囲気にしたい
・落ち着いたクラシックな印象にしたい
このように具体的なスタイルや雰囲気をイメージすることで、自然と選ぶべき色が絞られてきます。
② 家全体のカラースキームとの調和を意識する
キッチンは単体の空間ではなく、リビングやダイニングとつながる一部としての役割も果たします。そのため、隣接する部屋の床・壁・家具・カーテンなどとの色の調和を意識することが重要です。
インテリア配色の基本バランスである「ベースカラー70%、メインカラー25%、アクセントカラー5%」を意識すると、統一感のある心地よい空間をつくりやすくなります。
③ 床・壁・天井などの“動かせない要素”と合わせる
床や壁、天井といった固定された内装要素とのバランスも大切です。これらは簡単に変更できないため、キッチンの色はその周辺と相性のよいものを選ぶ必要があります。
・同系色でまとめて統一感を出す
・コントラストを活かして空間にメリハリを出す(例:濃い床には明るいキッチン)
・こうした配色の工夫で、空間に奥行きやアクセントを生むことができます。
④ キッチンの広さ・照明環境を考慮する
キッチンの広さや照明の種類・明るさによって、色の印象は大きく変わります。
・狭いキッチンで濃い色を使うと圧迫感が出やすい
・明るい色は広く見せ、開放感を与える
・窓からの自然光や照明の色温度によって見え方が変わる
ショールームで見た色と、自宅での印象が異なることもあるため、自宅の環境に合わせた色選びが重要です。
⑤ メンテナンス性も重視する
毎日使うキッチンは、汚れやすく掃除の頻度が高い場所です。
・汚れが目立ちにくい色を選べば、日々の手入れが楽に
・扉の仕上げ(鏡面 or マット)によっても掃除のしやすさが異なる
色だけでなく、素材や表面仕上げにも注目して選びましょう。
⑥ 実物を確認する&サンプルを取り寄せる
色選びで失敗しないためには、実際に目で見て確認することが重要です。
・カタログやネットの画像では正確な色味や質感がわかりにくい
・小さなサンプルと、実際のキッチン全体で見た印象は異なる
可能であればショールームを訪れたり、サンプルを取り寄せて実際の空間で確認したりしましょう。
⑦ カラーシミュレーションツールを活用する
多くのキッチンメーカーでは、オンラインで色の組み合わせを確認できるシミュレーターを提供しています。
・壁・床・キッチンの色を自由に組み合わせて確認できる
・自宅の写真を使って合成することも可能な場合あり
ただし、画面上の色は実物と異なることがあるため、最終判断は実物サンプルで行いましょう。
⑧ 長く愛せる色を選ぶ
流行に左右される色や、個性的すぎる色は飽きがきたり、古く感じたりするリスクがあります。
キッチンは長く使うものだからこそ、ベーシックで飽きのこない落ち着いた色を選ぶのがおすすめです。
⑨ アクセントカラーで遊び心をプラス
全体はベーシックな配色にまとめつつ、小物や壁の一部でアクセントカラーを取り入れると、個性を演出できます。
・白いキッチンに、好きな色の家電やインテリアを配置
・壁やタイルにアクセントカラーを使って空間に変化を出す
色で遊び心を取り入れることで、キッチンがさらに楽しい空間になります。
4. 【インテリア別】おすすめのキッチンカラー
キッチンの色を選ぶ際は、家全体のインテリアスタイルに合わせて考えることが、統一感のあるおしゃれな空間づくりのポイントです。ここでは、代表的なインテリアスタイルごとにおすすめのキッチンカラーをご紹介します。
■北欧風(Nordic Style)
北欧風インテリアの特徴は、明るくナチュラルな雰囲気と、居心地の良さです。
・おすすめのベースカラー:白、オフホワイト、ライトグレー、ベージュ、明るい木目など
→ 空間を広く明るく見せる効果があり、清潔感も演出できます。
・おすすめのアクセントカラー:パステルカラー、くすみカラー、アースカラー
→ 北欧らしい温かみとやさしさをプラス。
・素材の選び方:木材やリネン、ラタンなどの自然素材を取り入れると、より北欧テイストが高まります。
■モダン(Modern Style)
モダンスタイルは、シンプルで洗練された都会的な空間が魅力です。
・おすすめのベースカラー:白、黒、グレーなどのモノトーンカラー
→ 無駄をそぎ落としたスタイリッシュな印象に。
・おすすめのアクセントカラー:ディープカラー(ネイビー・ボルドーなど)やメタリックカラー
→ 空間に個性と深みをプラスできます。
素材の選び方:ステンレス、ガラス、メタルなどの無機質素材を取り入れると、モダンな雰囲気がより際立ちます。
■ナチュラル(Natural Style)
ナチュラルスタイルは、自然の温もりや穏やかさを感じる、リラックス空間をつくりたい方におすすめです。
・おすすめのベースカラー:木目調、白、ベージュ、ライトグレー
→ 柔らかく落ち着いた印象を与えます。
・おすすめのアクセントカラー:グリーンやアースカラー(ブラウン、オリーブなど)
→ 自然との調和を感じる癒しの空間に。
・素材の選び方:天然木やコットン、リネンなどの自然素材を多く使うことで、よりナチュラルな印象が深まります。
■クラシック(Classic Style)
クラシックスタイルは、伝統的で上品な雰囲気を演出したい方にぴったりです。
・おすすめのベースカラー:白、クリーム、ライトパステル、濃い木目など
→ 洗練された落ち着きのある空間に仕上がります。
・おすすめのアクセントカラー:ゴールド、シルバー、くすみ系のブルーやグリーン、模様入りのピンクなど
→ 重厚感と華やかさを兼ね備えた、優美な印象に。
・素材の選び方:木材やクラシカルなデザインのタイル・金属装飾を取り入れると、空間全体の品格が高まります。
インテリアスタイル (Interior Style) | おすすめのベースカラー (Recommended Base Colors) | おすすめのアクセントカラー (Recommended Accent Colors) | 主な素材 (Main Materials) |
---|---|---|---|
北欧風 (Nordic) |
白、オフホワイト、ライトグレー、ベージュ、明るい木目 (White, Off-white, Light Gray, Beige, Light Wood) |
パステルカラー、くすみカラー、アースカラー (Pastel Colors, Muted Colors, Earth Tones) |
木材、自然素材 (Wood, Natural Materials) |
モダン (Modern) | 白、黒、グレー (White, Black, Gray) | 濃い色、メタリックカラー (Dark Colors, Metallic Colors) | ステンレス、ガラス (Stainless Steel, Glass) |
ナチュラル (Natural) |
木目調、白、ベージュ、ライトグレー (Wood Tones, White, Beige, Light Gray) |
アースカラー、グリーン (Earth Tones, Green) | 木材、自然素材 (Wood, Natural Materials) |
クラシック (Classic) |
白、クリーム、ライトパステル、濃い木目 (White, Cream, Light Pastels, Dark Wood) |
ゴールド、シルバー、 muted blues/greens, patterned pinks | 木材、タイル (Wood, Tiles) |
【まとめ】後悔しないキッチンカラー選びのために押さえておきたいポイント
システムキッチンの色選びは、キッチンの使い勝手や空間の印象を大きく左右する重要な要素です。理想のキッチンを実現し、後悔のない選択をするために、以下のポイントをしっかり押さえておきましょう。
① 理想のキッチンイメージを明確にする
まずは、ご自身が思い描くキッチンのスタイルや雰囲気を具体的に想像することが大切です。モダン、ナチュラル、北欧風、クラシックなど、スタイルを明確にすることで、選ぶべき色の方向性が自然と見えてきます。
② 家全体との調和を意識する
キッチンだけでなく、家全体のインテリアスタイルとの調和を考慮することで、空間に統一感が生まれます。床・壁・天井といった固定された要素とのバランスも見逃せないポイントです。キッチンが家の一部として自然に溶け込むよう、色選びは慎重に行いましょう。
③ 広さ・照明・光の入り方を考慮する
キッチンの広さや照明環境も、色の見え方に大きな影響を与えます。狭い空間に濃い色を使うと圧迫感が出る一方で、広い空間では重厚感を演出することができます。自然光の量や照明の色温度まで含めて、色選びを行うことが大切です。
④ メンテナンス性・掃除のしやすさも重要
美しさだけでなく、毎日のお手入れのしやすさも色選びには欠かせない要素です。汚れが目立ちにくい色や、素材・仕上げによる拭き取りやすさなど、実用性の視点からも検討しましょう。
⑤ 実物を確認し、シミュレーションツールを活用する
カタログやウェブの画像だけで判断せず、実際のカラーサンプルを確認し、可能であればショールームで実物を見ることをおすすめします。また、メーカーが提供するカラーシミュレーションツールを活用することで、具体的なイメージがつかみやすくなります。
⑥ 長く愛せる色とアクセントの工夫
流行や一時の好みに左右されすぎず、時代を超えて愛されるベーシックな色を選ぶことも大切です。さらに、アクセントカラーを取り入れることで、キッチン空間に個性や遊び心を加えることも可能です。ベースカラーとのバランスを意識して取り入れましょう。
◆ 理想のキッチンカラーは、考え抜いた選択から生まれる
これらのポイントを意識してキッチンカラーを選べば、きっと見た目にも使い勝手にも満足できる空間が完成します。長年にわたって心地よく使えるキッチンは、あなたの暮らしをより豊かにしてくれるはずです。